自分好みの条件で株スクリーニングできるツールを1時間で開発できた

高配当株に興味を持ったのは数年前。証券会社のスクリーニングツールを使ったことがある。「配当利回り3.5%以上」「自己資本比率40%以上」「配当性向60%以下」……といった条件を組み合わせてスクリーニングし、その後自分の判断で個別銘柄を分析していく。個別銘柄の数はそれなりに多く、個別銘柄をあきらめて結局ETFを買う。 週末しか作業時間がない私には、「条件を入力して待つだけ」のツールが欲しかった。しかも分析は自分好みにチューニングしていきたい。そんな人は多いのではないか?

そこで Claude Code を使って自作してみた。コードは自分では1行も書いていない。要件を伝えてAIと対話しながらツールを完成させ、東証プライム全1,574銘柄のスクリーニングを実行した話を書く。


なぜ Claude Code で作ったのか

証券会社ツールの限界

証券会社のスクリーニング機能はよくできているが、自分が使うときにいつも感じていた不満が3つあった。

  • 条件の保存が面倒:ブラウザを閉じると設定が消えることも
  • 結果の精査に時間がかかる:通過銘柄が多すぎて絞り込みに手間がかかる

「自分が信頼できる条件を、自分で決めて、繰り返し実行できるツール」が欲しかった。

ChatGPTに相談した場合の壁

最初はWebブラウザ版のAIで「高配当株を調べて」と試したことがある。数銘柄は調べてくれるが、すぐに処理量の限界に達して止まる。1,574銘柄を一気に処理させるには、ローカルで動くツールが必要だった。

Claude Code を選んだ理由

Claude Code はターミナルで動くAIエージェントで、自分のPCでPythonスクリプトを直接生成・実行できる。コードを書くのではなく、「何を作りたいか」を伝えるだけで動くのが特徴だ。

スクリプト実行1回でトークン消費を抑えながらフィルタされた銘柄を選定しビジュアル化する。 claudeのトークン消費を抑えるのは必須のポイントだった。 こういうツールを作れるか、試した。今回ツール開発プロセスを記事にした。


実際のワークフロー:4つのフェーズ

フェーズ1:要件定義(何を作るか決める)

まずClaude Codeに「高配当株スクリーニングツールを作りたい」と伝え、スクリーニング条件を整理した。

自分が決めた条件はこの4つ:

条件基準値理由
配当利回り3.5%以上国内債券を上回る水準
自己資本比率40%以上財務健全性の目安
配当性向20〜60%低すぎると減配リスク、高すぎると持続性に疑問
営業利益率10%以上稼ぐ力があるか

この条件をClaude Codeに渡すと、「2ステージに分けて効率よく処理しましょう」と設計を提案してきた。最初から全銘柄に重い処理をかけず、まず利回りだけで絞り込んでから財務スクリーニングをかける構造だ。こういう設計の判断もAIに任せられるのが想定外のメリットだった。

フェーズ2:設計(AIが設計書を作る)

Claude Codeが提案した設計はこういう構成:

スクリーニング処理フロー概要

① 東証プライム全銘柄一覧をJPX公式から取得(1,574銘柄)

② Stage 1:配当利回り3.5%以上のみ通過(約150〜200銘柄に絞り込み)

③ Stage 2:残った銘柄に自己資本比率・配当性向・営業利益率を適用

④ 結果をCSV+HTMLレポートに出力

「先に軽い条件でふるいをかけ、重い処理は絞り込み後の銘柄だけに行う」設計で、実行時間を約30分に抑えた。 条件をきつい制約にすれば、より少ない銘柄を次工程の処理対象とする。処理負荷・処理時間も抑える設計をclaudeに依頼した。

設計の段階でClaude Codeに「この設計で問題ないかレビューして」と聞いたら、配当性向のデータがサービスによって異なる点を指摘してくれた。yfinanceは実績EPS基準のため、みんかぶ等の予想EPS基準より数値が高めに出る。そのため通過条件を60%と少し緩めに設定し、通過した銘柄は目視で確認する運用にした。

フェーズ3:実装・実行(コードは自分で書かない)

Claude Codeへの指示は日本語で行った。「JPXのExcelから東証プライム銘柄だけ取得して」「エラーが出ても止まらずスキップして」「HTMLレポートに各銘柄の詳細確認リンクも入れて」といった形で、追加条件を会話しながら足していった。

実行中に途中でタイムアウトエラーが起きた銘柄はスキップして続行する仕組みも、「なぜか止まることがあった」と伝えるだけでClaude Codeが対処した。

30分ほどで全1,574銘柄のスクリーニングが完了した。

フェーズ4:結果確認(HTMLレポートで目視精査)

出力されたHTMLレポートはこんな構成:

  • 緑色:設定した基準値をクリア
  • 黄色:基準値をやや外れているが許容範囲内(要注意)
  • 赤色:基準値を外れている
  • 薄オレンジ:データ取得不可(目視確認推奨)

各銘柄に「みんかぶ」「IRBANK」「カブタン」へのリンクも付けたので、気になった銘柄はそのままクリックして詳細確認できる。

実際の出力HTMLはこういう形で表示される。配当利回りの高い順に並び、各指標がセルの色で一目で判断できる。

スクリーニング結果出力イメージ(実データ非掲載)

今回は1,574銘柄から11銘柄が通過した。建設・工事系が多い傾向があり、業種の偏りも見えてくる。この中から自分の判断軸で絞り込んでいく作業はずっと楽になった。

※実際の銘柄・数値は非掲載。投資助言ではなく、あくまでツールの出力イメージです。


トークン消費を抑えるポイント

Claude Codeは使うほどトークンを消費する。工夫した点は2つ。

①設計書として残す
「今日話した仕様をファイルに書いておいて」とClaude Codeに指示すると、設計書をMarkdownで保存してくれる。次回からはその設計書を読ませるだけで文脈が共有できるため、毎回ゼロから説明しなくてよくなる。

②2ステージ設計で処理を最小化
全銘柄に重い処理をかけない構造にすることで、API呼び出し回数を抑えた。スクリーニングの仕組み自体をトークン効率よく設計してもらったのがポイント。


やってみてわかったこと3つ

① 「コードを書かない開発」は現実に動く
自分でPythonを書いたわけではない。条件と方針を伝え、AIの提案をレビューして「GO」を出す作業が中心だった。SE/PMの仕事に近い動き方だ。

② AIは設計の壁打ち相手になる
「この設計で問題ないか」「こっちのアプローチとどっちがいいか」を聞くと、具体的な理由付きで返してくる。一人で試行錯誤するより格段に速い。

③ 自分の判断軸が明確になる
スクリーニング条件を自分で決める過程で、「自分は何を重視しているのか」が言語化された。証券会社のデフォルト条件に乗っかるだけのときはなかった体験だ。


このツールは「投資判断」ではなく「時間の節約」

念のため書いておきます。この記事、およびツールは投資助言を目的としたものではありません。

スクリーニングは「候補を1,574銘柄から11銘柄に絞る」作業をAIを使うことで効率的できる方法の1つとしてご紹介という位置付けです。最終的な投資判断は自分の責任で行ってください。ツールが使えるのは、その前の「候補を絞る時間」を短縮することだけだ。


次のステップ

今回は第一弾として「スクリーニングだけ動く」ツールを作った。次にやりたいのは:

  • 途中再開機能:実行中断時にゼロから再スタートしなくてよくなる
  • Claude分析フェーズ:通過銘柄をまとめてClaudeに渡し、傾向や注目点をコメントしてもらう
  • 少数銘柄の過去深掘り:通過銘柄から証券コードを渡し、過去10年に渡ってデータを取得して深掘り分析しビジュアル化するツール

Claude Codeで自分好みのツールを作るシリーズとして続けていく予定。


※本記事に記載の銘柄・数値は情報提供目的です。投資判断は自己責任でお願いします。データの正確性はみんかぶ・IRBANK・カブタン等でご確認ください。