この記事でわかること
Obsidian × Claude MCP連携は、設定ファイルを正しく書けば技術的には接続できる。ただし2026年4月時点でチャットモードのMCP対応は不安定で、自分の環境では実用レベルで動作しなかった。
この記事では、実際のセットアップ手順(エラー含む)と、動かなかった事実、そして代わりに確実に動いたCoworkモードからの直接アクセスについて書く。「繋がったけど使えなかった」という体験も含めて正直に書く方が、同じことを試す人の役に立つと思っている。
速く記事を量産したいわけじゃなく、Claudeが自分のことを深く理解した上で、再現性の高い文章を作れる環境を整えたかった。その視点からの実録だ。
やろうと思ったきっかけ
「ClaudeにObsidianのメモを読ませて、私に対する理解度のもっと高いブログを作りたい。しかもできるだけトークンを無駄にしない方法で。」
Xでこういう投稿を見かけたのがきっかけ。
「AI外部脳をゼロから作る」「Claudeが記憶を持つ」「Obsidianがナレッジベースになる」
SEなら再現性が高く、トークン消費を抑え、私のことをよく理解した文章を作りたいと思うはず。そこが魅力的だった。毎回チャットを開くたびに「私はSEで副業してて…」と説明し直すのは非効率だし、説明の質によってアウトプットの質も変わる。Obsidianに自分の思考・文脈を蓄積しておいて、Claudeにそれを読ませれば——という発想は、SEとして理にかなっている。
ただ、使っているClaudeに率直に聞いてみると返ってきた答えはこうだった。
「今のCoworkのセットアップ(CLAUDE.mdや各コンテキストファイル)で、すでにある程度解決済みでは?」
…確かに。毎回読み込まれるCLAUDE.mdに自分のプロフィール・ブログ方針・進捗を全部書いてある。ただ、CLAUDE.mdは「プロジェクト管理のための構造化された情報」であって、「日々の思考・気づき・生の体験メモ」とは性質が違う。Obsidianには後者を蓄積する余地がある。
それでもやることにした理由は一つ。「自分で体験しないと記事に深みが出ない」。読み手に「で、実際どうなの?」と聞かれたとき、ちゃんと答えられる状態にしたかった。
セットアップ実録:エラーとの格闘
前提環境
- Mac M1(Apple Silicon)・メモリ8GB
- Node.js v22.17.0(nvm経由でインストール済み)
- Claude Desktop(Pro契約)
- Obsidian:このタイミングで初インストール
まずObsidianをインストールして、Vault(保管庫)を作った。Vaultは日々のメモをためる場所。iPhoneのメモアプリにためていた副業メモとClaude関連リソースをObsidianに移す形で、初期のノートを2本用意した。
最初の試み:smithery CLIでの自動設定
mcp-obsidianのページを見ると、smithery CLIを使う方法が最初に出てくる。コマンド1本で設定が完了するらしい。
npx @smithery/cli install mcp-obsidian --client claude
Vaultのパスを入力して、さあ完了か——と思ったらエラー。
Failed to save configuration to keychain: r.setPassword is not a function
macOSのキーチェーン(パスワード管理)に設定を保存しようとして失敗している。これはsmithery側のバグで、自分の環境固有の問題ではなく、同じエラーが出ている人が複数確認できた。
作戦変更:手動で設定ファイルを書く
smitheryを諦めて、Claude Desktopの設定ファイルを直接編集する方針に切り替えた。
npm install -g mcp-obsidian
which mcp-obsidian
# → /Users/<username>/.nvm/versions/node/v22.17.0/bin/mcp-obsidian
ここに一つ罠があった。nvmでNode.jsを管理している場合、mcp-obsidian のインストール先が通常の場所(/usr/local/bin など)ではなく、nvmの管理下(~/.nvm/versions/...)になる。Claude Desktopはターミナルのシェル設定(PATH)を参照しないため、コマンド名だけ書いても見つけられない。
設定ファイル(~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json)には、コマンドのフルパスで書く必要がある。
{
"mcpServers": {
"mcp-obsidian": {
"command": "/Users/<username>/.nvm/versions/node/v22.17.0/bin/mcp-obsidian",
"args": ["/Users/<username>/path/to/vault"]
}
}
}
Claude Desktopを再起動。UIにはMCPのアイコンが見当たらない。「失敗か?」と思ったが、ログを確認すると——
cat ~/Library/Logs/Claude/mcp-server-mcp-obsidian.log
Server started and connected successfully
tools: read_notes, search_notes
ログ上は接続されていた。アイコンが見えないだけで、MCPサーバー自体は起動している状態だった。
ログ確認を知らなければ「失敗した」で終わっていたと思う。UIだけ見てトラブル判断しない、ログを読む——これはSEとしての基本だが、慣れないツールの前では意外と忘れる。
チャットモードでは実用的に動かなかった
「ログ上は接続済み」を確認したあと、Claude Desktopのチャットタブで実際に試してみた。
Obsidianのノートを読んで。
返ってこなかった。ハンマーアイコンもない。再起動しても変わらない。
ログでは Server started and connected successfully と出ているのに、チャット画面ではMCPツールが呼び出せない。これは「サーバーは起動しているが、チャットモードのUIがツールを認識・呼び出せていない」状態だ。
2026年4月時点の結論として、Claude DesktopのチャットモードにおけるサードパーティMCPの対応は発展途上だと見ている。 設定ファイルを正しく書いてもUIに反映されないケースがあり、自分の環境では実用レベルで使えなかった。
チャットモードでのMCP連携は、今後のClaude Desktopのアップデートで改善される可能性がある。ただ現時点で「チャットモードで確実に動く」とは言えないため、この記事では推奨しない。
確実に動いた:CoworkモードからObsidianへの直接アクセス
チャットモードが動かないとわかった段階で、CoworkモードからObsidianのノートを直接読めるか試してみた。
すんなり読めた。
「Vaultに
claude役立ちメモ.mdと副業メモ.mdがあります。内容は…」
MCP経由ではなく、Coworkが直接ファイルシステムにアクセスして読んだ。設定は何も追加していない。Coworkはフォルダへのアクセス権があれば、Obsidianに限らずあらゆるファイルを直接読み書きできる。
Coworkでできることを整理すると:
| できること | Coworkモード |
|---|---|
| Obsidianのノートを読む | ✅ |
| ノートに書き込む | ✅ |
| 複数ファイルを横断して比較 | ✅ |
| コード実行と組み合わせる | ✅ |
| Web検索と組み合わせる | ✅ |
| 追加設定の手間 | なし |
ChatchモードのMCPが担うはずだった「ObsidianノートをClaudeに読ませる」という目的は、Coworkモードで完全に達成できる。
トークン消費:設計次第で抑えられる
「ファイルを読ませるとトークンをたくさん消費する?」という懸念は合理的だ。これは使い方の設計で大きく変わる。
ClaudeはCoworkでもMCPでも、「読んで」と指示したときだけファイルを読む。常時監視して自動でデータを流し込んでいるわけではない。1ファイル読む=その分だけトークンを使う、というシンプルな仕組みだ。
副業メモや日常の気づきメモは数百文字程度のことが多い。それを1〜2ファイル読んでもトークンへの影響はほぼない。
トークンを無駄にしない使い方の設計:
- ファイルを指定して読む(「副業メモを読んで」)。「全部読んで」はNG
- 必要なタイミングだけ参照する。毎回毎回Vaultを読ませない
- Obsidianのノートを構造化しておく。雑多なメモより「このノートには何が書いてあるか」が明確な状態の方が、Claudeが読む量を最小化できる
Claude Proは従量課金ではなく使用上限制なので、想定外の請求が来ることはない。ただし大量一括読み込みを繰り返すと、制限に早く引っかかる可能性はある。
2026年のAIに「外部記憶」は必要か
Obsidian × Claude MCPの文脈でよく語られる「AIに記憶を持たせる」というコンセプト。これが解決しようとしている本質的な問題は何か。
Claudeの根本的な制約:セッションをまたいで記憶が続かない。
新しいチャットを開くと、前回の会話は消える。だから「毎回最初から説明し直す」問題が起きる。これを解消するために「Obsidianに自分のコンテキストを蓄積して、Claudeに読ませる」という発想は合理的だ。
ただ、この問題への対処法はObsidian MCPだけではない。CLAUDE.mdのような「プロジェクトコンテキストファイル」を用意して毎回読み込む仕組みでも機能する。
Obsidianが差別化できる点は「日常の思考・気づきの蓄積」だ。 CLAUDE.mdは構造化されたプロジェクト情報を管理するのに向いているが、「今日ふと思ったこと」「読んで気になった記事メモ」「体験の断片」といった生の思考の蓄積には向いていない。Obsidianにはその部分を担えるポテンシャルがある。
思考の蓄積が増えるほど、ClaudeはSEである自分の興味・視点・文体をより深く理解した文章を作れるようになる。これは量産ではなく、質を底上げするための仕組みだ。
ただし現時点では、その仕組みを活かすにはCoworkモード経由が現実解になっている。
今後どう使うか(自分なりの設計)
セットアップを終えて、どう活かすかを整理した。
ObsidianへのアクセスはCoworkで完結させる。 ファイルへの直接アクセスに加え、Web検索・コード実行との組み合わせも使えるため、記事制作の実作業はCoworkで完結する。
Obsidianは「Claudeのためのメモ帳」ではなく「自分の思考を蓄積する場所」として設計する。 ノート間のリンク機能([[ノート名]])やグラフビューで知識の繋がりを可視化できる。ここに蓄積した思考をCowork経由でClaudeに読ませることで、表面的な情報だけでなく「なぜそう考えたか」の背景ごとClaudeに伝えられる。それが記事の深みに繋がる。
チャットモードのMCPは今後のアップデートに期待しつつ保留。 設定ファイルは残してある。Claude Desktopのバージョンが上がって対応が安定したら再検証する予定だ。
まとめ
- Obsidian × Claude MCP連携は設定ファイルを正しく書けば接続自体は可能
- smithery CLIはkeytarエラーで使えなかった。手動でJSON設定ファイルを書く方が確実
- nvmでNode.jsを管理している場合、コマンドのフルパス指定が必須(Claude DesktopはシェルのPATHを参照しない)
- ログでは接続を確認できるが、チャットモードのUIがMCPツールを呼び出せず、実用的には動作しなかった(2026年4月時点)
- 確実に動くのはCoworkモードからの直接アクセス。設定不要で読み書き・Web検索・コード実行も組み合わせられる
- トークン消費は「ファイルを指定して読む」「構造化されたノートを使う」設計で抑えられる
- Obsidianの本質的な価値は**「日常の生の思考を蓄積する場所」**。その思考をCowork経由でClaudeに渡すことで、記事の質を底上げできる
ツールを入れて終わりじゃない。どう設計するかが全てだ、とあらためて感じた。
関連・参考
このセットアップをやってみたい方は以下を参考にどうぞ。
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